Last modified: August 4, 2015

小澤徹 (おざわ とおる)

微分方程式を考える −数学は現象をいかに記述しているか−
サイエンス社の月刊誌『数理科学』に連載中の記事

第13回 摂動論的方法に依る半線型発展方程式の解法の具体例(2015年7月30日提出,2016年1月号掲載)
前回導入した半線型発展方程式の摂動論的抽象論が,個別の方程式に対して有効に応用される為には,非摂動項(自由場)の性質を調和解析学的に基礎付け,それに両立する摂動項を函数空間論的に特徴付ける枠組を構成する事が必要である.今回は,主に非線型シュレディンガー方程式を例に取り,初期値問題の具体的理論と調和解析学・函数空間論との密接な関連を,分野の勃興から現在の発展に至る歴史的な研究動向も交えつつ解説する.

13.1 非線型波動方程式の数学研究の歴史的概観
13.2 初期値・境界値問題と臨界ソボレフ埋蔵
13.3 初期値問題とストリッカーツ評価
13.4 小さな摂動に依る時間大域解
13.5 零形式
13.6 フーリエ制限法